前頁でご報告した令和4年度「地域エネルギー教育フォーラム」について、当研究会の発表しました内容の概要を記載させていただきます。
テーマ 三重県の北勢地域における「持続可能な成長」とは? ~未来を担う,地域特性の人材育成~
1.はじめに
人間を含むすべての生き物は,生態系・生物多様性の基盤の上に,山,川,海など自然環境の中で生かされている.しかし今,人間社会が追求してきた豊かさや便利さのために,その自然環境が崩壊しはじめている.この現状に歯止めをかけ少しでも改善に向かうためには,机上の学びから身近な地域課題に目を向け,地域の人々と協働で持続的社会を創る担い手づくりを育成していくといった地域の教育力を高める事を含めた活動が欠かせないと考えている.
2. 三重県のエネルギー,地球温暖化対策推進プロジェクト
2.1 三重県の取り組み
「2050年カーボンニュートラル宣言」を受けて,三重県は2021年に「三重県地球温暖化対策総合計画」を策定し,温室効果ガス削減の取り組みや気候変動への適応策について検討している.また,「ミッションゼロ2050みえ推進チーム」を結成し,再生可能エネルギー利用促進,脱炭素経営の促進,COOL CHOICEの推進といった県民運動を推進している.しかし,次世代自動車CO2対策や森林資源の活用,四日市石油コンビナートの事業構造の転換等,産業分野における課題は多い.
2.2 四日市市の取り組み
四日市市は,「エネルギー産業のまち」「将来の企業人」を育てる目的を掲げ,多くの企業による連携活動が行われている.
3.一般社団法人四日市大学エネルギー環境教育研究会(以下,研究会)の組織と活動
平成14年から3年間,四日市大学が資源エネルギー庁公募事業“エネルギー教育調査普及活動事業”を受託し,その後も継続して“先行拠点大学”として,エネルギー教育の啓発・啓蒙活動に取り組んだのが始まりである.現在も引き続いて,学校や社会でのエネルギー教育に関わる実践,支援そして省エネ・創エネ・畜エネ推進のための活動をしながら地域の人材育成事業に貢献している.
4.まとめ
地域の自然資本(生態系・生物多様性)と社会経済(暮らしや産業などのエネルギー問題),人材育成(若年層から高齢者までの参画)へのチャレンジは,重要な社会基盤と認識し,別々に捉えずに行政や産業,地域と連動した総合的な活動が必要だと考える.
現在の地域活動には高齢者ばかりの現状から,相可高校の事例と、ここ数年当研究会が展開している「高校生や大学生の学びを地域ビジネスに生かした人材育成」のSBP(ソーシャル・ビジネス・プロジェクト)では,ある程度の成果を得られていて,将来の地域リーダーの育成に更に貢献していきたい.